溶接作業用に治具を自作しているうちに、いつのまにか溶接治具が治具置き場を圧迫…
使ったりしまったりで整理整頓がなかなかできない…
思い切って大掃除をして不要な治具を捨てるとそういった時に限って、その治具が必要な仕事がくる…
溶接あるあるですね ^^;
溶接作業効率をあげるのに活躍する溶接治具。
特定の作業のために専用の溶接治具を作る、汎用の溶接定盤で柔軟に対応する…どちらが良いのか、悩むケースもあるかと思います。
このコーナーでは『専用の溶接治具』、『汎用の溶接定盤』のメリットとデメリットを比較したいと思います。
1.専用の溶接治具の場合
- メリット
- 作業効率
特定の作業の専用道具なので、作業効率は汎用の定盤に比べてよい。
また、セッティングにかかる作業がほぼないので、作業にすぐ取り掛かる事ができる。
- デメリット
- 複数使う場合のコストと収納スペース
溶接作業1製品あたり1つの専用治具が必要となるため、複数の製品を製作する場合に溶接治具を複数置くためのスペースが必要になってくる。
また複数治具を作るとなると都度、設計製作が必要となり、導入コストが高くなる。- 汎用性
製作するワークの形状が少しでも変わった場合に治具を直すための設計と改造費用が必要
- こんな場合におススメ
- ロットが多い作業を行う場合。
- 量産体制が確立した作業の場合。
専用の溶接治具の例
左:治具本体
右:実際の使用の様子
こんな心あたりありませんか?
2.3D溶接定盤(汎用の定盤)の場合
- メリット
- コストと収納スペース
溶接定盤1台で複数の溶接工程に対応できるので、トータルでの導入コストは安い。
また治具を置くスペースは定盤1台分で済む- 汎用性
製作するワークの形状が途中で修正があった場合でも柔軟に対応できる。
- デメリット
- セッティング
製造するワークが変わる場合、溶接定盤のセッティングが必要。
その作業だけに特化した専用治具と比べると作業効率は及ばない。
- こんな場合におススメ
- ロットが少ない作業を行う場合。
- リピートの間隔が広い製品を扱っている。
- 工場が十分に広くない場合。
- ワークが大きかったり、形状が複雑で専用の治具を作るのが大変。
- 多品種少量生産の場合。
- 3D溶接定盤の固定と専用溶接治具の固定の比較
左:3D溶接定盤
右:専用溶接治具
専用治具と溶接定盤で
角パイプの斜め固定を比較してみた!
角パイプを斜めに保持しての溶接が必要なワークにて…
専用治具の場合
通常定盤~自作冶具で行う場合
※アングルブロック(自作)、市販クランプ自作の治具なので位置決めが目測だったり、下の受け金具部分の固定に難があります。
自作の治具とクランプがしっかりと合わさらないと溶接作業中にワークが動いてしまうかもしれませんね。
溶接定盤の場合
3D定盤~専用ツールで行う場合
溶接定盤には定盤全面に固定用の穴が開いており、ツールを自由な場所にセットする事ができます。
ツールを組み合わせる事で、丸パイプ、アングル、角パイプもしっかり固定ができます。固定のしやすさ、安定性で3D溶接定盤に軍配!
溶接治具 VS 3D溶接定盤 まとめ
同じ製品の製造を常時行っている場合は専用冶具を設計・製作するほうがメリットがあります。
ですが多品種の製造を行う場合は、冶具の保管場所や冶具を製作する手間などの負担が大きくなります。
3D溶接定盤では専用ツールの組合せで、どのような形状の製品の固定にも対応できます。
また固定事例を写真で残しておくことにより、リピート時にもスムーズに対応することができます。
実は上の写真の棚は弊社の治具置き場でした…
自作の溶接治具が多くなりすぎ整理整頓がなかなかできなかった治具置き場が…
3D溶接定盤なら固定のレパートリーもスマホの写真にすっきりと保管
専用溶接治具 | 3D溶接定盤 | |
---|---|---|
作業能率 |
◎
専用だけあって、その作業に限っての作業能率は抜群に良い。
|
○
作業前に溶接定盤の組立てが必要。
組立てさえすれば、実際の作業に移った時の作業能率は専用治具にも匹敵。 |
汎用性 |
×
専用のため、他の製品には対応できない。
|
◎
ツールセットの組み合わせでどのような形状でも対応可能。
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収納性 |
×
複数専用治具を作ると収納スペースを圧迫。
|
○
1台分の収納スペースですっきりと収納
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コスト |
△
単体では安価だが複数作ると高価になる。
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○
イニシャルは高価だがトータルでは安価。
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